SNSのアルゴリズムに踊る「タイムラインのバカの壁」とマスコミの末期症状

脳化社会に生きる

アルゴリズムの罠に気づかない現代人

SNSの世界はみんな違う

 現代社会は、人間の脳が作った理屈やシステムで現実をすべて埋め尽くそうとする「脳化社会」の極致にあります。
その最前線にあるのが、X(旧Twitter)などのSNSですね。
 タイムラインに流れる情報を見て、熱狂的に意見を交わしている人々は、「自分の頭で考えて発言している」と思い込んでいます。
 しかし、養老孟司先生の視点から見れば、彼らは「人工的なシステムに支配され、操られていることすら気が付かないバカタレ」に過ぎません。

 今回は、SNSのアルゴリズムがどのように強固な「バカの壁」を作り出し、さらにはマスコミまでを巻き込んで社会をバカにしているのか、その恐ろしい構造を解剖します。

タイムラインは「脳化社会」の極致である

タイムラインに「リアル」はない

 養老先生の言う「脳化社会」とは、予測不可能で思い通りにならない「自然(リアル)」を排除し、人間の意識(データや計算式)だけで作られた記号空間のことです。
Xのタイムラインは、まさにその純粋な人工空間です。
そこには五感で感じるリアルな違和感や、身体を通した泥臭い現実は一切存在しません。
 画面の前に縛り付けられたユーザーは、アルゴリズムという「他人の脳の設計図」に自らの意識を完全に委ね、コントロールされている状態にあります。

 もっとも恐ろしいのは、「自分がシステムにコントロールされていることすら気づかないほど、脳(意識)が肥大化している」という点です。

自動生成される「バカの壁」と、裸の王様たち

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アルゴリズムに「支配されていること」にすら気づかない

『バカの壁』の根本にあるのは、「人間は自分が知りたくないこと、興味がないことについては、情報を遮断してしまう」という脳の性質です。

 本来なら人間が自ら作っていたこの「壁」を、現代はAI(アルゴリズム)が先回りして、頼んでもいないのに超強固に自動生成してくれます。
 過去のクリックや滞在時間から「この人が喜びそうな(あるいは怒りそうな)情報」だけを過激にフィルタリングして流すため、壁の向こう側にある「異なる意見」や「複雑な現実」は完全に消え去ります。

減ったのはアンチではない。見ている世界が違う

 ここで、私もSNS民の一人として、袋叩きにあいそうな悲しいお知らせを皆さんにしなければなりません。
最近、SNS上で「最近アンチが減った!」と喜んでいるインフルエンサーやユーザーを見かけますが、実はこれ「バカの壁」の典型例なんです。
これは彼らの実力や好感度が上がったわけではないのですね…


 アルゴリズムによって、「アンチが自分を見られないように隔離された」か、あるいは「自分がアンチの存在しない『優しい独房(エコーチェンバー)』に押し込められた」だけなんですよ。
人工的に作られた温室の中で、世界の王様になったと錯覚して喜んでいる。
これこそがバカの壁に閉じ込められた人間の哀れな姿です。


 
つまり、私が見ている世界、Aさんが見ている世界、Bさんが見ている世界、アンチが見ている世界は、完全に切り離された「全て違う宇宙」を見ているのです。
だから、それぞれの宇宙の中で、どうのこうのと言ってる訳ですね・・・
試しに、家族や友人など隣の人と同時にSNS(X)を
開くと、同じものはタイムラインとして流れていないはずです(笑)
みんな同じものを覗いていると思っていることが既にアルゴリズムに操作された思考停止のバカの壁なんです(笑)

「信者コミュニティ」と「アンチコミュニティ」の不毛な空中戦

「SNS世論調査」という名の自己満足

このアルゴリズムの檻の中で、さらに滑稽な現象が起きています。
それが「SNS世論調査」という名の自己満足です。
100%偏ったサンプルしか集まらない空間でアンケートを行い、「ほら見ろ、俺たちの意見が9割だ!これが民意だ!」と悦に浸る。
その一方で、隔離された別の部屋(独房)では、アンチコミュニティが全く同じように「あいつらは異常だ、俺たちの意見こそが9割だ!」とアンケートをやっています。

幽霊同士の殴り合い

 養老先生の視点から見れば、これは「実体のない幽霊同士の殴り合い」です。
彼らが戦っている相手は、目の前にいるリアルな人間ではなく、アルゴリズムによって過激にデフォルメされた「脳内の敵のイメージ」に過ぎません。
ボタン一つで1万票集まったとしても、それは同じ生簀で飼われている魚がボタンを押しただけ。
脳の報酬系(ドーパミン)がハッキングされているだけで、現実の世界には1ミリも影響を与えていません。

 お互いが「相手は洗脳されている」と指を差していますが、やっていることは「自分に都合の良いデータを集めて自己満足する」という全く同じ脳の癖(パターン)です。
両者は完全に同類(目クソ鼻クソ)であり、同じシステムの上で踊らされている「信者」ということですね。

釈尊の警告:「自分の脳に騙されるな」という2500年前の真理

執着を捨てろ

 実はこの「自分が正しいと思い込み、騙されていく構造」について、今から2500年以上も前に完璧に見抜いていた賢聖がいます。
釈尊(ブッダ)です。
釈尊は「自分の脳(心・意識)に騙されるな」と強く説きました。
仏教では、人間が認識する世界はすべて脳が作り出した「幻影(妄想)」であり、私たちはその幻影を勝手に「現実」だと思い込んで一喜一憂し、苦しんでいると説いてます。

 現代のSNSアルゴリズムは、まさにこの「人間の脳が持つ『騙されやすい性質』」をテクノロジーで極限まで悪用したものです。
脳はもともと、自分に都合の良い情報だけを好む性質があります。
 アルゴリズムはその性質(煩悩や執着)をハッキングし、あなた専用の「歪んだ世界」を目の前に差し出します。
そして脳はまんまと騙され、「これこそが世界の真実だ!アンチが減った!世論は俺たちの味方だ!」と狂喜乱舞するわけです。

 2500年前に釈尊が「脳に騙されるな」と命がけで警告したというのに、現代人は大金を払ってスマホを買い、自ら進んでアルゴリズムという「究極の幻影」に脳を差し出し、騙されにいっている。
これ以上のバカタレがあるでしょうか

選挙結果が証明する「ネット世論」と「現実」の決定的な乖離

ネット世論と現実の違いは当たり前

 SNSの住人がいかに巨大な「バカの壁」に閉じ込められているか、その何よりの証拠が「選挙結果とネットの盛り上がりの真逆な結末」です。
 ネット上では特定の候補者や政党が圧倒的な支持を集め、「今度こそ社会が変わる!」「これが民意だ!」とお祭り騒ぎになっているにもかかわらず、いざ開票してみると全く真逆の結果になり、惨敗する――。
こうした現象を、私たちは何度も目撃してきました。
ここに、ネット民の致命的なバカの壁があります。
 新聞やテレビなどの世論調査は、無作為抽出などによって「アルゴリズムに偏っていない不特定多数のリアルな社会全体」を対象に行われます。
対して、ネット調査やSNSのトレンドは、「アルゴリズムによって極端に偏った特定の生簀」の中だけの結果です。
 つまり、自分が見ているネットの世界は、同じような考えの人しか住んでいないので、そこでネット調査すると期待通りの高い数値が出るのは当然なんですね。
両者の数字に大きな乖離が出るのは、統計学以前に「当たり前の事実」なのです。

タイムラインの罠に気がつかないネット民

 しかし、自分のタイムラインこそが世界のすべてだと信じ込んでいるネット民は、この単純な事実(構造)に気がつきません。
彼らは、現実の数字を突きつけられると、バカの壁の内側から「マスコミが数字を捏造している!」「不正選挙だ!」と陰謀論を唱えて大騒ぎし始めます。
 自分たちの観ている世界の方が、アルゴリズムに操作された「偽物の世界」であるという客観的事実から、必死に目を背けているのです。
 これはネット情報の操作も可能だということです。

SNSのアルゴリズムの罠に気づかない現代人と「虚構の総理」

 養老孟先生の視点を借りれば、SNSで熱狂的に発言する人々は、自律的に思考しているつもりで、実はAI(アルゴリズム)に操られているに過ぎない 。
 現代人は、自身の見たくない情報を排除する「バカの壁」を、アルゴリズムによって自動生成された「エコーチェンバー(優しい独房)」の中に築いているのです。

 この情報操作の極致が、過去記事にも書きましたが、ネット上における特定の政治家(女性初の総理大臣)への盲目的な熱狂ですね。
 自身のタイムラインという閉鎖空間内で、批判的な情報や不都合な現実は「ノイズ」として排除され、美化されたイメージだけが肥大化するからです。
その結果、客観的な現実は無視され、脳内で都合よくストーリーが書き換えられてしまっているのです。

SNSトレンドを「世論」と報道するマスコミのバカタレ

「脳化社会」の自己増殖(ミイラ取りがミイラになる)

 本来、SNSの偏りを客観的な視点から検証すべきマスコミまでもが、最近ではこのSNSのトレンドを「世論」として安易に報道し始めており、社会全体のバカの壁はさらに分厚く、末期的な状態へと向かっています。
 養老先生は、脳化社会(意識やデータが現実を支配する社会)の恐ろしさは、それが自動的に拡大していく点にあると指摘しています。

  • 記号の「再利用」
     マスコミは本来、自分の足(身体)を使って現場に行き、「思い通りにならない現実」を取材するのが仕事でした。
     しかし今のマスコミは、SNSという「誰かの脳が作ったデジタルデータ(記号)」を机の上で拾い集め、それをニュースという別の記号に加工して流しています。
  • 一次情報の喪失
    現実の人間ではなく、アルゴリズムが「バズらせた」偏った数字や声を「世論」として報道するため、嘘が嘘を塗り替えるように、社会全体の「脳化」が加速していきます。

マスコミの脳も「アルゴリズム」にハッキングされている

 マスコミの記者や編集者も、一人の人間としてスマホを持ち、Xのアルゴリズムに日々晒されています。

  • プロにあるまじき錯覚
     彼らは「自分たちは客観的な報道のプロだ」という肥大化したプライド(意識)を持っています。
     そのため、自分が毎日のぞいているタイムラインが「アルゴリズムによって極端にバイアスを掛けられた偏った世界」であるという単純な事実にすら、気づくことができません。
     まさに『バカの壁』の「自分が知りたくない、見えていないことに気づけない」状態です。
  • PV(閲覧数)という麻薬
     マスコミ自体が「デジタル空間で数字を稼ぐ」というアルゴリズムのルールに組み込まれているため、意図的か無意識にか、バイアスのかかった過激なネット情報をそのまま垂れ流して世間を煽るようになります。

「現実」の完全な消滅

 信者もアンチもそれぞれ偏った世界を見ています。
そして今やマスコミも、そのどちらか一方の「偏った部屋」に迷い込み、そこから見える景色を「日本中の声」として報道しています。
 結果として、社会全体が「現実には存在しない、アルゴリズムが作り出した幻影(お化け)」を追いかけて大騒ぎするようになります。

 養老先生が言う「現代人は現実を見ず、脳の中の記号だけを見て生きている」という病理の、これが最悪の完成形です。

拡声器を持ったバカタレの誕生

 信者とアンチが狭い部屋で不毛な空中戦をやっているだけならまだしも、マスコミがそこに加わることで、「偏った独房の中の声を、社会全体の正義として拡大・拡散する」という最悪の循環が生まれています。
 マスコミがSNSのバイアスに無自覚であることは、客観報道の放棄であり、現代の「脳の病」の象徴です。

結び:私たちはどうやって「壁」に気づくべきか

教祖(システム)にハッキングされ踊らされている

 信者も、アンチも、そしてマスコミまでもが、アルゴリズムという巨大な「教祖(システム)」に脳をハッキングされ、それぞれのバカの壁の中で踊らされている現代社会。
この「脳化の檻」から抜け出すためには、私たちが日々見ているデジタルデータがいかに人工的で偏ったものであるかをまずは自覚し、自分の身体を通して「思い通りにならないリアルな現実」に脳をぶつけ直すしかありません。

自分の脳を疑え(ブッダの教え)

 釈尊が言うように「自分の脳(主観)を疑う」こと。
そして養老先生が言うように「身体性を取り戻し、現実の不条理さに触れる」こと。

 選挙結果という「冷徹な現実の数字」にすら言い訳をして、画面の中の「優しい世界」や「都合の良い世論」に悦に浸っている暇があるなら、一歩外に出て、自分の思い通りにならないリアルな社会に触れること。
それこそが、現代の強固なバカの壁を打ち破る、唯一にして最強の処方箋なのです。

次回:『ネトウヨ化する高齢者(仮)』
(リアル社会で実際にアルゴリズムの餌食になり、

バカの壁を拗らせて孤立していく悲劇的な具体例を斬る)

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